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【台湾のお墓と風水】
二日目は鈴鈴さんに案内してもらって 阿里山に行くため高雄から嘉義行きの電車に乗りました。
新しい電車で乗り心地もよく快適な旅でした。 座席は指定席の切符を持っているのですが、
別にその場所に座らなくても良いようです。 適当に空いた所に座って構わないと鈴鈴さんに教えられました。
どこかのんびりしています。
電車に揺られながら外の風景を眺めていると 田園地帯にお墓がありました。 沖縄の亀甲墓と同様に丸みを帯びたお墓です。
もともと中国福建省から伝来したものでしょうから ルーツが沖縄と同じです。 形は沖縄のものとほとんど変わりませんが
大きさは沖縄の門中墓より小ぶりのようでした。

田園地帯にお墓が造られていた。 沖縄の亀甲墓とよく似ているが甲羅の部分に土が盛られている。 沖縄同様、風水によって吉方を選んだ結果
お墓の向きがまちまちなところが面白い。
昔の中国では吉地に墓を設け、 墓相がよければ子孫繁栄に恵まれると考えました。
これを陰宅風水と言います。 お墓に埋葬した先祖の遺骸は土の中で腐敗し、 血や肉は大地に還ります。
骨は残って「魄」と呼ばれる霊魂が宿り、 そのエネルギーが風に乗って流れ出し、 子孫のもとに辿り着くと考えたのです。
こうして、子孫は先祖の遺骨によって影響を受けると考えました。 これを風水では「同気感応」と言います。
土葬した骨が良い状態になる土質であるか、 骨から流れ出たエネルギーが子孫に良い影響を及ぼすような
地形や墓の位置、向きになっているかが重要なことでした。
特にお墓の土質の善し悪しが問題となったようで、 南向きの日当たりの良い丘陵地で水はけの良い場所であれば
遺骸は時と共に朽ち果て、美しい骨となり子孫に幸福をもたらすと 信じられていました。
遺骨が黄色に変わるのが良く、黒く変わるのが最も良くないとされたため、 事前にブタの骨を埋めて変色具合を調べたり、
父母の眠る墓を掘り起こして骨の色を確かめる人までいたようです。
また、棺の中の遺体に木の根が絡みついていたり、水に浸かっていたり、 蛇の巣になっていたりすると子孫に大変な災いが降りかかるとされました。
したがって、墓の善し悪しで子孫が恩恵を受けたり、 災厄に遭ったりするわけですから大変なことです。
昔の人にとってお墓は人生を左右するほど大きなウエイトを占めていました。 成功したいという自分たちの欲のために墓がどんどん巨大化したり、
数少ない吉地の奪い合いも起りました。 そのためお墓の大きさや場所について規制が設けられるようになりました。
現代でもお墓は大切なものだと考えられていて風水師立会いのもとで 墓を造営することもあるようです。
沖縄でのことですが、N町に住むAさんがある時手足に痺れを感じて 病院に行ったのですが、原因が良くわからなかったそうです。
数日後にAさんがたまたま先祖のお墓の近くを通 りかかると 道路工事をしていました。
大型ダンプが行き来し路肩が少し崩れていました。 道路下にAさんの家のお墓があったのですが、
道路工事の影響でお墓に亀裂が生じていました。 驚いてお墓の蓋を開けて中を調べたところ雨水で濡れていました。
骨壷を調べるとその中には何と水が溜まっていたそうです。 すぐに水を捨てて骨を洗って戻したところ
その日の夜から体調が良くなったそうです。
本土での話ですが、大きな台風が来た夜にBさんは夢を見ました。 先祖のお墓に和服を着た若い女の人が重なって見えている夢でした。
どこかで見たことのあるような人ですがその時は誰だかわかりませんでした。 気になってお墓に行くと
曾おばあさんの骨を埋めたお墓の墓石だけが台風で倒れていました。 そこで、夢に現われた若い女性は曾おばあさんに良く似ていたことを
思い出しました。 Bさんはそれが曾おばあさんの若い頃の姿だったのだと思ったそうです。
お墓が子孫に対してどれほどの影響力を持つのかは 科学的にわかっていませんし、
証明するのが難しいといえます。 ただ、風水では陰宅風水のほうが陽宅風水より重要であると考えられています。
沖縄のある設計士さんから、 知り合いの台湾人の設計士がいつの間にか陰宅風水師になって
今では墓地探しをしていると聞いたことがあります。 「どうしてか?」と尋ねると「設計の仕事より儲かるから」と答えたそうです。
陰宅風水が商売の手段として存在していることも確かなようです。

田園地帯ではお墓は子孫の住んでいるところに近く、生活圏の中にある。
インドのように火葬してガンジス川に流したり、 チベットのように鳥葬にする国ではお墓はあまり問題にならないでしょうが、
風水を信じる東アジア圏では、 このままだと人口が増えるに連れて その土地が墓地に占領されていくかもしれません。
墓地をどのようにしていくのかという問題は これから深刻になってくるでしょう。
陰宅風水の考え方も根本に戻って検証し、 時代に即して変えていかなければならないかもしれません。
商売のための風水になってはならないと思います。
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