|
【高雄で乾杯と歌合戦】
林さんと鈴鈴さんに連れられて行ったのは謝さんのオフィスでした。
謝さんも健康食品や化粧品関係のビジネスで大成功し、二ヶ所にオフィスを持ち二件の住宅を所有しているということでした。
ノルマの無いシステム販売のようなビジネスで成功したようです。 商品カタログを見せてもらいましたが、
日本円に換算しても安くありません。 普通の台湾の人の給料では簡単に買えないような価格に思えました。
鈴鈴さんが謝さんに私が風水師であると紹介してくれました。 すると謝さんは何を思ったのか
「私の人相はどうですか? 成功する人相ですか?」と尋ねてきました。 オフィスの間取りがどうかと尋ねられるのかと思ったのですが、
そんなことよりも自分の人相や手相に関心があるようです。 台湾でも風水というと占いだと思っている人が多いようです。
林さんも鈴鈴さんもそうでした。 後になってその理由がだんだんわかって来ましたが、
この時は少しびっくりしました。
謝さんの顔で最も特徴的なのはその鼻立ちの強さでした。 そして目に色気があります。
自己主張がはっきりしていて 女性から応援されて成功する運があるのがわかります。
私は初対面の相手に「あなたはどういう運がある・・・」 と相手を決め付けるような事を自分からは言わないのですが、
求められたので 「あなたの鼻は意志の強さを表し、大変指導運の強い鼻です。 ビジネスでは自分の信念を貫いて成功します。
夢を持ち続けることが大切です。 また、人間関係ではいろいろな女性に助けられる運があります。
女性たちによって支えられるでしょう。 ただし、もてすぎる傾向があるので恋愛や結婚は慎重に
なさって下さい。 女性問題で離婚しやすくなります。」 とお話しました。 神妙に聞いていた謝さんでしたが、
当たっているところがあったようで うなづいておられました。 自分の人生を振り返ってみると、節目節目でいろいろな女性によって
助けられたというようなことを話されていました。 後で聞いた話によれば謝さんは昨年離婚したばかりで
恋愛や結婚についてはいろいろ悩みがあったようです。
女性が占いに関心があるのはどこの国でも同じです。 林さんやその友達の手首には大きな数珠のようなものがはめられていました。
最近日本でもパワーストーンのブレスレットをする人が増えていますが、 林さんたちのものはとても大きく、一粒がさくらんぼほどもあります。
「これは何ですか?」と尋ねると 「台南に占いをする霊能者のおばあちゃんがいて、
お守りとしてもらいました。」 と答えてくれました。 よく見ると球はプラスチック製ですし野暮ったいのですが、
お守りであればはずすわけにはいかないのでしょう。 そのおばあちゃんは人の一生分の占いをするそうですが、
一日に二人しか鑑定しないそうです。 ただし、鑑定料は一人30万円だそうです。
「高いですね」と私が尋ねると 「30万円で1回観てもらったら、後は何度相談に行ってもタダなのよ。」
という答えが返って来ました。 それなら安いのかもしれません。
「おばあちゃんが言うには人によっては身に付けてはいけない色があるのよ。
私は赤やピンクはいいけれど黒を着ちゃだめと言われたの。」 と鈴鈴さんが話してくれました。
そう言われれば鈴鈴さんはいつも赤系統の服を着ています。 身につけてはいけない色があるとなるとファッションや
お洒落が楽しめなくなって不自由なように思いますが、 運が悪くなると言われると自然に着たくなくなるのかもしれません。
鈴鈴さんはさほど不自由をしていないように見えます。 一緒に台南に行く機会があればおばあちゃんに紹介してくれるそうです。
沖縄でも台湾でもシャーマンのような霊能力を持った人たちがいることは 確かです。 ただし、その信憑性については何とも言えないというのが
私の本音です。
いろいろな話をしているうちに次々といろいろな人が集まって来て 15人ぐらいになりました。
ここは謝さんのビジネスを紹介するためのオフィスで 関心ある人が自由に出入りできるようになっているそうです。
謝さんは最も偉い立場らしいのですが、 えらぶったところが全くなく、 奥の席に陣取って自らお茶を入れ皆にもてなしています。
入れていたお茶はプーアール茶でしたが、 今までに飲んだことがないようなとてもおいしいお茶でした。
私たちがおいしいおいしいと言って何杯も飲んでいると かなり高級なお茶だと鈴鈴さんが教えてくれました。
漬物やお茶のつまみを持って来る人も現われて とうとうカラオケ大会が始まりました。
このオフィスにはカラオケの機械があって 毎日こうしてお茶を飲んでカラオケを歌っているそうです。
「そんなことで商売になるの?」と尋ねると 「 商売がうまくいくためには人を喜ばすことが一番大切だ」と教えてくれました。
確かにここに来ている人たちは元気で楽しそうです。
カラオケを歌う人の中にプロ並みの人がいて思わず聞きほれてしまいました。
北京語の歌と台湾語の歌があるかと思えば日本語の歌もありました。 北京語の歌は壮大な大地を歌ったものらしく(画面
がそうだったので) 雄大でゆったりと風が流れるような感じでした。 台湾語の歌はリズム感があって流行歌のようでした。
だんだん盛り上がってきてマイクが私のほうにも回って来ました。 知っている歌がほとんど無くて襟裳岬を歌いました。
沖縄から台湾に来てまさか襟裳岬を歌うなんて考えもしませんでした。 外国の歌はうまく聞こえるのかそれとも社交辞令なのか
歌い終わると拍手喝采でした。 さすがにいい気分になりました。
そのままの勢いで皆で夕食を食べに行くことになりました。 謝さんがおいしい海鮮料理の店に案内してくれました。
15名ほどの人がテーブルを囲んでいます。 一応紹介を受けましたが名前は覚えられませんでした。
まずビールが出てきて乾杯です。 台北ではあまりおいしいとは思わなかった台湾料理でしたが、
魚料理やイカ団子、エビ料理、野菜料理など出てくる料理全てがおいしく、 デザートの小豆のようなものもくせになりそうでした。
台湾ではお酒の飲み方が二種類あるらしく、 「乾杯(カンペイ)」と言うとコップを空にしなくてはならないそうです。
私は20代はお酒を浴びるように飲んだこともありますが、 30代からはほとんど飲まなくなりました。
ところがここでは飲まないわけにはいきません。 相手から「乾杯!」と言われるとこちらも「乾杯!」と言って
コップの酒を飲み干さなければなりません。 私一人で10人以上の人から「乾杯!」されて
学生時代のコンパでイッキ呑みをして以来のお酒の量 です。 それでも、不思議とあまり酔いませんでした。
皆と気心が知れて来たことと このままではお酒を飲まされるばかりなので 私のほうから歌合戦を提案しました。
まず私たち夫婦が沖縄の代表的な歌「芭蕉布」を歌いました。 すると台湾側は地元の歌を歌って返して来ました。
今度は私たちが「てぃんさぐぬ花」を歌い 相手も別の歌で返してくるという具合に5ラウンドぐらい戦いました。
お互いが共鳴しあって一体感が出来とても楽しい時間を過ごしました。
「日本では『そでふりあうも他生の縁』と言い、 沖縄では『イチャリバチョーデー』と言うけれど
台湾では何と言うのですか?」と尋ねると 「イチエンドゥ−クー」と教えられました。
そこで皆で「イチエンドゥ−クー、イチエンドゥ−クー、・・・」 と何度も合唱し大変盛り上がりました。
歌合戦の時にとても印象に残る出来事がありました。 台湾では専業主婦というものが無いようで、
女性は何らかの仕事をしているだけでなく、 林さんのように二つ以上の仕事をしている人もたくさんいます。
そのため、女性が自立していて離婚も多いそうです。 この場にも離婚した人が半数ぐらいいて
夫婦で来ていたのは私たちを含めて三組だけでした。 私たち夫婦が歌合戦で仲良く歌う姿を見て
台湾側の代表の方が三組の夫婦に捧げる歌を歌ってくれました。 歌詞は良くわからなかったのですが、
夫婦がずっと仲良く添い遂げれるように 祈りを込めた歌のようでした。 歌を聴いていて胸が熱くなりました。
台湾でも経済的な成功を得たとしても 愛するパートナーがいなければ 幸せではないという考え方があるようでした。
高雄の人たちは親切で情熱に溢れていました。 鈴鈴さんが「台湾は南にいくほど人がいい」と言っていたことが
よくわかりました。 今回夫婦で台湾に来たことでとても良い交流ができました。
食事の後、林さんのマンションに行き中国皇帝秘伝と言われる リンパマッサージを受けました。
薬草からなる特殊なジェルを塗り、水牛の角を使って全身をマッサージします。 普通は三時間かかるところを二時間コースでお願いしました。
体具合の悪い人は痛くて悲鳴をあげるそうですが、 私の場合は痛いには痛かったのですが悲鳴を上げるほどではありませんでした。
「身体は健康だが頭が固い」と言われました。 たらふくお酒を飲んで全身マッサージを受けて
ホテルに帰ると夜中の1時でした。 ベッドに入るとすぐに眠りにつきました。

台湾の夜は長い(写 真は嘉義)
|